ガウンの丈が長すぎる、名前を呼ぶ順番がわからない、講堂のどこかで家族が待っている。卒業式の夢は、本当の卒業式から何年も、ときには何十年もたってから訪れます。学校とは関係のない、長い努力が終わる時期にもよく現れる夢です。

夢の場面 古い書物の読み 出典
学校に入る 吉 『夢判斷』
学校を出る 吉兆ではない 『夢判斷』
大学の夢 長く望んだ地位に進む ミラーの夢事典
大人になって学校に戻る 悲しみと、素朴だった日々への憧れ ミラーの夢事典
師や友と泣く 別れ 『夢判斷實驗書』
卒業式に出られない どの書物にも項目なし なし
卒業できない 項目はなし。読み書きを学び直す夢は時宜にかなわないしるし アルテミドロス

夢占いの古典では、卒業式の夢はどう読まれてきたのか

古い夢の書物は、今のような卒業式を知りません。どの本にも卒業式の項目はなく、あるのは学校そのもの、そして学校に入る場面と出る場面です。いちばん印象的な一行は日本の本にあります。中国の『夢林玄解』を和訳した『夢判斷』(明治39年)は、家屋部の「庠序學塾」、私立学校の夢の項で、「凡て學校に入る夢は吉なれど學校を出づる夢は吉兆にあらず」と書きました(国立国会図書館デジタルコレクション、コマ231、413ページ)。同じページの「大學」の項では、大学に入る夢を、学問に励む賢い人が試験に合格しようとするしるしと読んでいます。

西洋の書物は、学校を「思い出すもの」として読みました。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、学校に通う夢を文筆での成功と読む一方、大人になって子どもの頃のように学校にいる夢を、悲しみや挫折のあとで素朴だった日々を懐かしむしるしとしました。大学の夢については好意的で、長く望んだ地位に進むしるし、大学に戻る夢を仕事で認められるしるしと読んでいます。

つまり、卒業にいちばん近い古い読みは、慎重なものです。『夢判斷』では、入ることより出ることのほうが落ち着かない場面とされていました。今の私たちが卒業式の夢に感じる不安も、そこから遠くないのかもしれません。

卒業式の場面

ここで紹介するのは古い夢の書物の読みで、歴史として伝えるものです。夢は未来を予言しません。

自分の卒業式の夢の意味は?

壇上を歩き、握手をし、証書を受け取る。『夢判斷』は学校に入る夢を吉、出る夢を吉兆ではないと読んだので、その言葉で言えば、卒業は落ち着かないほうの半分にあたります。対してミラーの大学の読みは、前に進むことばかりでした。心理学では、自分の卒業式の夢は「認められること」の夢と読まれます。何かが終わり、終わったと認められる。晴れやかな夢なら長い努力の終わりに、気の抜けた夢や不安な夢なら、次の段階が何なのかを問う時期に見やすいとされます。

卒業式で泣く夢の意味は?

最前列で流れる涙、もう会えないかもしれない友人との抱擁。明治の『夢判斷實驗書』(明治41年)は、人と泣き悲しむ夢を喜びごとのしるしと読みましたが、ひとつだけ例外を設けています。「但兄弟師友と泣き悲むとみれば別離の兆」、兄弟や師、友と泣く夢は別れのしるしだというのです(コマ29、30ページ)。卒業式の場面にそのまま重なる一行です。心理学では、夢の涙は、起きている間には許されなかった感情を運んでくると考えられます。終わる章への悲しみ、あるいは、ようやく置き場所を得た安堵。目覚めると不思議と心が軽くなっている人も多い夢です。

うまくいかない卒業式

卒業式に出られない夢の意味は?

式はもう始まっている、講堂への道がどんどん延びていく、呼ばれた名前の席が空いている。卒業式に出られない夢の項目は、このページで引く書物にはありません。心理学では、遅刻の夢と同じ読み方をします。時間に追われる感覚、自分の人生の大事な場面に乗り遅れることへの恐れです。役に立つのは「何に遅れているのか」ではなく、「何を抱えすぎているのか」という問いのことが多いのです。

卒業できない夢の意味は?

最後の最後で単位が足りないとわかる、先生が首を横に振る、名簿に自分の名前がない。卒業を認められない夢の項目は、このページで引く書物にはありません。いちばん近い古い読みは、アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀)にあります。すでに読み書きのできる人が、それをもう一度学び直す夢を、子どもにこそふさわしい学びだからと、悪い、時宜にかなわないしるしとし、不安と苦労をともなう停滞と読みました。心理学では、テストの夢に近い夢、つまり自分の力が審査される夢として読まれます。実際にはきちんと準備のできている人が見やすい夢でもあります。

心理学では、卒業式の夢をどう読むのか

心理学では、学校の夢は、自分の力や居場所が見直される夢として読まれ、最後の授業から何十年たっても見られるとされています。卒業式は、その見直しが終わるはずの瞬間です。けれど夢の中では、きれいに終わることはめったにありません。証書が白紙だったり、ガウンが合わなかったり、名前が違っていたり。テストの夢と同じように、不安な卒業式の夢は、本当の欠点ではなく評価される感覚そのものについての夢で、実際にきちんとやってきた人ほど見やすいのです。

晴れやかな卒業式の夢も、同じくらい多くを語ります。起きている生活の中で、何かが確かに終わったのに、まだ誰にも区切りとして祝われていないときに見やすい夢です。お祝いのないまま終えた仕事、乗り越えたつらい一年、静かに済ませた変化。夢は、現実が開いてくれなかった式を代わりに開いてくれるのです。

心に留めておきたい問い

最近やり終えたのに、自分も含めて誰もまだ「終わった」と区切りをつけていないことは何でしょうか。


明治の夢判断書は、学校を出る夢を吉兆ではないと読みました。けれど、卒業式の夢がなぜ毎年春に戻ってくるのか、なぜ証書がいつも白紙なのかは、古い書物には書かれていません。手がかりは、記録して並べた自分の夢の中にあります。同じ夢が繰り返す理由は繰り返し見る夢にまとめました。Dreamlockは、iPhone向けのプライベートな夢日記アプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を絵にし、同じ場面が戻ってくることにも気づきます。未来を占うことはしません。