日取りが決まり、内金も払い終わり、そして夜が妙な具合になってきました。遅刻しそうなのに車が動かない夢。ドレスのサイズが合わない、泥だらけになっている夢。誓いの言葉の途中で歯がぼろぼろ崩れる夢。相手がただ、来ない夢。冷や汗をかいて目を覚まし、隣で眠る人を見て、自分の心はいったい何を言いたいのだろうと考えてしまう。
短く答えるなら、結婚式の前に不安な夢を見るのはよくあることで、たいていは相手のことではなく、出来事そのものについての夢です。結婚式は大きく、人目があり、お金がかかり、感情が動き、そして一度きりです。眠っている心が予行演習したがるのは、まさにこういう出来事です。こうした夢は、式が終わるとほどなくおさまる傾向があります。
なぜ心は最悪の場面をなぞるのか
人は大きな試練の前にそれについての夢を見やすく、しかもその夢はうまくいかない方向に進みやすい。これには、しっかりした裏づけがあります。イザベル・アルヌルフらの2014年の研究は、医学部の入学試験の前夜にどんな夢を見たかを学生に尋ねました。回答した719人のうち60パーセントが試験の夢を見ていて、その試験の夢の78パーセントには、主に遅刻や答えを忘れるといったトラブルが含まれていました。意外なのはここからで、その夜に試験の夢を見た学生のほうが、本番の成績がよい傾向がありました。著者たちは、ストレスのかかる出来事を夢の中でなぞることが、たとえ悪い筋書きでも、一種の練習になっているのかもしれないと述べています。
結婚式は試験ではありませんが、かたちは似ています。決まった日付、人前でのふるまい、うまくいかなければならないことの長いリスト。マイケル・シュレドルとフランク・ホフマンが2003年に夢日記を調べた研究では、起きている生活を満たしているものが、夢も満たす傾向がありました。結婚式までの数か月ほど、起きている生活を満たすものはそう多くありません。
よくある夢のかたち
遅刻する。 車が来ない、目覚ましが鳴らない、式場がいつのまにか移っている。遅刻する夢は抱えすぎの夢で、予定を詰め込みすぎた時期に集まります。結婚式の場合、抱えすぎの中身ははっきりしています。リスト、業者、招待客、親族どうしの気づかい。
ドレスや衣装がうまくいかない。 破れる、しみがつく、小さすぎる、忘れてくる。ウェディングドレスの夢はしばしば、皆に見られる一日に、ある姿で、ある気持ちでいなければならないという重圧を運んできます。
歯が抜ける。 大きな場面ならいつでも出てくる、典型的な不安の夢です。歯が抜ける夢はふつう、見た目や話すこと、人に見られることへの心配として読まれます。写真と誓いの言葉でいっぱいの一日には、ぴったり重なります。
相手が来ない。 いちばん動揺させられるかたちで、いちばんよくあるかたちのひとつでもあります。もっとも大きな約束をする瞬間に、拒まれることへの怖さが最大の音量で鳴っているのです。これが映しているのはあなたにとってかかっているものの大きさで、相手の気持ちではありません。
違う人と結婚する。 祭壇にたどり着くと、待っていたのは元恋人、見知らぬ人、職場の同僚。落ち着かない夢ですが、たいていは相手への迷いより、変化の大きさ、つまり新しい役割と新しい自分のあり方を映しています。
大混乱。 ケーキが崩れる、招待客がけんかする、会場が水浸しになる。何もかもが一度に起きる夢は、たいてい準備の一覧表がそのまま芝居になったものです。
ほかの人の結婚式の夢など、別のかたちについては結婚式の夢のページで扱っています。
古い夢の書物は何と書いていたか
古い書物は結婚式に警戒的でした。歴史として知っておく価値はあります。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、陽気な式で黒衣の牧師がいないのでなければ、結婚する夢を「悲しい前兆」と呼びました。米国の夢占い本『黄金の輪』(1862年)は結婚式を逆さに読み、にぎやかな結婚式を葬式のしるしとしました。ただしミラーにも、ここで大事なやさしい一節があります。若い女性が恋人が別の女性と結婚する夢を見たなら、それは無用な心配だ、と片づけているのです。明治の夢判断書『夢判斷實驗書』(明治41年)はもっと明るく、自分の結婚を祝われる夢を「吉兆」と読みました。
歯については、アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀、クラウスによる1881年のドイツ語訳)が口を家に、歯をそこに住む人々にたとえました。『夢判斷實驗書』は、血を見ずに歯が抜ける夢を父母や妻子を失う兆しと重く読み、抜けた歯がまた生えてくる夢を、悪い運が去りよい運が来る兆しとしています。遅刻については、ミラーは遅れる夢を、敵が夢見る人の前進を妨げようとたくらんでいることと読みました。
どれも、あなたの結婚式の読みではありません。夢は結婚生活の行方を知りません。正夢・予知夢は本当にあるのかのガイドでは、夢が未来を告げているように感じられるのはなぜか、とくに大きな日の前にその感覚が強まるのはなぜかを説明しています。
最後の数週間に助けになること
心配ごとに名前をつける。 不安の夢は、起きている心が本当は何を心配しているのかを認めると、ゆるむことがよくあります。スピーチ、ある親戚、天気、お金。それを相手や友人に話してみてください。
一部を人に渡す。 夢が段取りについてのものなら、誰かがリストをひとつ引き受けてくれるだけで楽になることがよくあります。当日の進行を任せられる人がひとりいれば、夜にリハーサルすることがひとつ減ります。
眠りを守る。 準備の夜更かし、独身最後のパーティー、いつもより多いお酒、早朝の打ち合わせ。最後の数週間は睡眠が足りなくなりがちです。短く途切れがちな夜は、目覚める回数が増え、覚えている夢も増えます。寝る時間をそろえるだけでも違います。このページは医療上の助言ではありません。
夢を書き留めて、手放す。 悪い夢を明るいうちに書き出すと、その力が少し抜けます。ばかばかしさが見えてくることも多く、最後にはふたりで笑い話にするカップルもたくさんいます。
夢のせいで長いあいだつらい気持ちが続くとき、あるいは起きているときにも本当の迷いが浮かんでくるときは、信頼できる人に話してみる価値があります。
心に留めておきたい問い
もし夢がうまくいかないひとつのことをリハーサルしていたのだとしたら、その一日のうち、あなたがひとりで抱えていて、誰かと分け合えるのはどの部分でしょうか。
一般的な読み方で言えるのはここまでです。あなたの夢には、あなただけのかたちがあります。家族と電話した夜にだけ強まる夢、いつも違う色のドレス、いつのまにか場所が変わっている式場。そうしたパターンは、たくさんの夢をまとめて覚えていてはじめて見えてきます。Dreamlockは、そのためのiPhoneアプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を聞き、絵にし、何がくり返し戻ってくるのかを覚えておくので、この季節をあとから笑顔で振り返ることもできます。