亡くなった父が、いつもの椅子に座っている。夢の中ではそれが当たり前で、誰も驚きません。目覚めてから、会えたうれしさと、もういないという事実が一度に押し寄せてくる。父の夢は、そんな複雑な朝を連れてきます。
亡くなった父の夢は、どう読まれてきたのか
ここで引く古い夢の書物には、亡くなった父だけを取り上げた項目がありません。日本の夢占い(夢判断)の古典である『夢判斷實驗書』(明治41年)が載せているのは、「死せし親屬をみれば大吉」、つまり亡くなった親族を見る夢を大いによいこととする一行だけで、父と母の区別もしていません。亡くなった人の夢全体についての古い読みは、亡くなった人の夢のページで紹介しています。
このページでは、亡くなった父の夢によく見られる場面を、現代の心理学の見方で読んでいきます。父は多くの人にとって、守ってくれる存在であり、ときに厳しく評価する存在でもありました。夢の中の父の表情や言葉には、父その人の記憶と、父が自分の中で果たしてきた役割の両方が映ります。
亡くなった父の表情
古い夢の書物には、この夢の項目がありません。以下は現代の心理学的な読み方です。夢が未来を予言することはありません。
亡くなった父が笑っている夢の意味は?
父が穏やかに笑っている。何も言わなくても、その笑顔だけで胸がいっぱいになる夢です。心理学では、笑顔の父は、自分の中で父の死が少しずつ受け止められてきたことの表れとして読まれることがあります。生前の父との関係に心残りがあった人にとっては、許されたい、認められたいという願いが、この笑顔の形をとっているのかもしれません。目覚めたあとの安らいだ気持ちは、それ自体が大切な手がかりです。
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亡くなった父が泣いている夢の意味は?
生前めったに涙を見せなかった父が、夢の中で泣いている。何か悲しませることをしたのでは、と気になる夢です。心理学では、夢の中で泣く父は、父の気持ちというより、自分自身の悲しみが父の姿を借りて現れたものと読まれます。言えなかった言葉や、してあげられなかったことへの心残りがあるときに、見やすい夢だといわれます。夢の中の父が、いま悲しんでいるという意味ではありません。
亡くなった父が無表情な夢の意味は?
父がそこにいるのに、黙ったままこちらを見ない。あるいは背を向けて遠ざかっていく。胸がしめつけられるような夢です。現代の読み方では、この夢は、父との間にやり残したことや、生前うまく言葉を交わせなかった記憶と結びつけて読まれます。父のいない暮らしに少しずつ慣れていく過程で、父の姿が遠ざかる夢を見る人も少なくありません。父に拒まれたという意味ではなく、心が別れの形を探している途中だと考えられます。
父と話す・触れる夢
亡くなった父と話す夢の意味は?

父とふつうに会話をしている。内容は他愛ないことでも、声の調子まではっきり覚えている夢です。心理学では、夢の中の会話は、自分の心が自分に語りかけているものと考えられます。父が言ったことは、父ならこう言うだろうと自分が思っていること、あるいはいま自分が聞きたいことと重なっていることが多いのです。迷っている決断があるなら、夢の中の父の言葉が、答えを自分の中から引き出すきっかけになるかもしれません。
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亡くなった父と抱き合う夢の意味は?

父の背中に腕を回す。生前はそんなことをしなかった人ほど、夢の中の抱擁に驚きます。心理学では、抱き合う夢は、伝えきれなかった愛情や感謝、きちんとお別れをしたいという気持ちが形になったものと読まれます。目覚めたときの温かさや寂しさは、父との関係がいまも自分の中で生きていることの証しです。
父の様子
亡くなった父が生き返る夢の意味は?

夢の中で父が元気に暮らしている。亡くなったことが間違いだったかのように、家族の輪の中にいる。目覚めた瞬間がいちばんつらい夢かもしれません。心理学では、亡くなった人が生きている夢は、心がまだ喪失を受け止める途中にあることの、ごく自然な表れと考えられています。時間とともに、夢の中の父の様子も少しずつ変わっていくことがあります。
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亡くなった父がまた亡くなる夢の意味は?
すでに亡くなった父が、夢の中でもう一度亡くなる。別れをもう一度味わうような、つらい夢です。現代の読み方では、この夢は、父の死という現実を心がもう一度確かめ直している過程と考えられます。最期に立ち会えなかった人や、突然の別れだった人が、こうした夢を見ることもあります。夢が誰かの死を予言することはありません。
亡くなった父が病気になる夢の意味は?
病床の父、やせた父。最期の頃の姿が、夢の中にそのまま現れる。看病の記憶が新しい人ほど見やすい夢です。心理学では、この夢は、看病の日々や、もっと何かできたのではという思いが、眠りの中でたどり直されているものと読まれます。夢の中の姿は、父がいまどうしているかを表すものではありません。元気な頃の父の夢を見るようになるまでには、時間がかかることもあります。
心理学では、亡くなった父の夢をどう読むのか
父を亡くしたあとに父の夢を見るのは、悲しみの中でとても自然なことです。フロイトは、失った人から少しずつ心を離していく心の働きを「喪の作業」と呼びました。夢の中の父との再会は、その作業の途中で、心が父ともう一度向き合っている時間だといえます。
ユングの流れをくむ読み方では、父の姿は、ルールや判断、守る力といった「父的なもの」の象徴でもあります。仕事の岐路や大きな決断の前に父の夢を見るのは、父ならどうするかを、心が確かめているのかもしれません。
手がかりは、夢の中の父の表情と、目覚めたときの自分の気持ちです。慰められたのか、寂しさが増したのか、何かを言われたのか。その感覚を書き留めておくと、夢が少しずつ変わっていく様子も見えてきます。
心に留めておきたい問い
父に、いまいちばん聞いてみたいことは何でしょうか。
父の夢には、古い書物の決まった読みがありません。そのかわり、父の口ぐせや着ていた服、座っていた場所といった小さな記憶が、夢の中にそっと紛れこんでいることがあります。目覚めてすぐ書き留めておけば、そうした細部も失わずにすみます。Dreamlockは、iPhone向けのプライベートな夢日記アプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を、古い書物の読み、心理学の見方、ひとつの問いから読み解きます。未来を占うことはしません。
