亡くなった人が夢に出てくると、目覚めてしばらくは、その声や手の温かさが残っているように感じられます。会えてうれしかったのか、かえって寂しさが募ったのか。どちらも自然な気持ちです。明治の『夢判斷實驗書』も古代ギリシャのアルテミドロスも、この夢には多くの行を割いています。
| 夢の場面 | 古い書物の読み | 出典 |
|---|---|---|
| 亡くなった人と話す | 忠告に従わなければ苦境が来るという警告 | ミラーの夢事典 |
| 亡くなった人に何かをもらう | 受け取ったものは幸運を運ぶ | アルテミドロス |
| 亡くなった人に何かを取られる | 故人の夢の中でもっとも不吉なしるし | アルテミドロス |
| 亡くなった人が笑っている | 病が癒える | 『夢判斷實驗書』 |
| 亡くなった人が生きている | よくない影響を招き入れている/混乱と損失 | ミラーの夢事典、アルテミドロス |
| 亡くなった人がまた亡くなる | 同じ名前の人や血縁の人の死の知らせ | アルテミドロス |
| 亡くなった人と抱き合う | 官位が進み、財宝が集まる | 『夢判斷實驗書』 |
| 亡くなった人を供養する | 人望を得て、ますます栄える | 『夢判斷實驗書』 |
夢占いの古典では、亡くなった人の夢はどう読まれてきたのか
このページでは、日本の夢占い(夢判断)の古典として、柄澤照覺の『夢判斷實驗書』(明治41年)を中心に引きます。この本は人物の項の終わりに「死せし親屬をみれば大吉」と書き、亡くなった親族を夢に見ることを大いによいこととしました。故人が笑う夢には病の回復を、故人を抱く夢には出世と財を読んでいて、明治の夢判断書は故人の夢をおおむね明るく読んでいます。
西洋の古い本は、もっと慎重です。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、亡くなった人の夢はたいてい警告の夢だとし、父なら不運な取引、母なら心に巣くう暗い感情を抑えるよう促すしるし、というように、誰が現れたかで警告の中身を変えました。古代ギリシャのアルテミドロスは、ただ故人を見るだけの夢を、生前その人が自分にどう接していたかで読み、やさしかった人なら幸せな日々を、そうでなければその逆を読んでいます。同じ夢に、祝福と警告と、その中間の読みが並んでいるのです。
亡くなった人がしたこと
ここで紹介するのは、古い夢の書物に残る読みを、歴史の記録として伝えるものです。夢が未来を予言することはありません。
亡くなった人と話す夢の意味は?

夢の中で、亡くなった人とふつうに言葉を交わしている。内容は覚えていなくても、声だけははっきり残っていることがあります。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、亡くなった親族と話し、相手が何かの約束をさせようとする夢を、その忠告に従わなければ苦境が来るという警告と読みました。そのうえでミラーは、その声は夢を見た人自身の内なる声が、耳に届く姿を借りたものだと書き添えています。明治の夢判断書には、故人と話す場面の項目はありません。現代の心理学も、夢の中の会話を、自分の心が自分に語りかけているものとして読みます。
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亡くなった人に何かをもらう夢の意味は?

亡くなった人が、何かをそっと手渡してくれる。食べ物だったり、お金だったり、形見の品だったりします。アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀)は第四巻で、故人から受け取るものは、一度にでも少しずつでも、すべて幸運をもたらすと書きました。とくに食べ物、お金、道具、衣服がよく、例外は亡くなった人とともに墓に納められる品だけです。反対に、故人に何かを与える夢は決して益にならない、とも書いています。心理学では、もらったものは、その人から受け継いだ性格や教え、思い出として読まれます。
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亡くなった人に何かを取られる夢の意味は?
亡くなった人が、こちらの持ち物を持っていってしまう。アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀)は、故人が衣服やお金、食べ物を持ち去る夢を、故人の夢の中でもっとも不吉なしるしとしました。もらう夢を幸運としたのと、ちょうど正反対の読みです。明治の夢判断書には、この場面はありません。現代の読み方では、この夢は、その人を失ったことで自分の中の何かまで一緒に持ち去られたような感覚、喪失の実感そのものを映すと考えられます。
亡くなった人に呼ばれる夢の意味は?
名前を呼ばれて振り向くと、亡くなった人がいる。懐かしさと同時に、少し怖さも感じる夢です。呼ばれる夢は縁起が悪い、という話を耳にして不安になる人もいますが、ここで引く明治の夢判断書にも西洋の古い夢事典にも、故人に呼ばれる場面の項目はありません。夢が未来を予言することはない、というのがこのサイトの立場です。心理学では、呼ばれる夢は、その人ともう一度つながりたい気持ちや、自分の名前を呼んでくれた声への懐かしさの表れと読まれます。
亡くなった人が泣いている夢の意味は?
亡くなった人が、夢の中で泣いている。自分が何かいけないことをしたのでは、と気がかりになる夢です。故人が泣く場面の項目は、明治の夢判断書にも西洋の古い夢事典にもありません。アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀)が書いたのは逆向きの場面、つまり故人を思って泣き悲しむ夢で、嵐がやがて凪に変わるように、悲しみが喜びに変わるしるしと読んでいます。心理学では、泣いている故人は、自分自身の悲しみや、言えずに終わった言葉への心残りを映すと考えられます。
亡くなった人が笑っている夢の意味は?
亡くなった人が穏やかに笑っている夢は、目覚めたあと、ほっとした気持ちの残ることが多い夢です。明治の夢判断書『夢判斷實驗書』(明治41年)は「死人笑ふとみれば病愈ゆべし」と書き、亡くなった人が笑う夢を、病が癒えるしるしと読みました。心理学では、笑顔の故人は、自分の中で喪失が少しずつ受け止められつつあることの表れとして読まれることがあります。
亡くなった人の姿
亡くなった人が生きている夢の意味は?

夢の中では、亡くなったことなどなかったかのように、その人が元気に暮らしている。目覚めた瞬間に現実を思い出すのが、いちばんつらい夢かもしれません。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、亡くなった人が生きて幸せそうにしている夢を、よくない影響を自分の暮らしに招き入れているしるしと読み、自分の意志で正せば損失は避けられる、としました。アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀)も、死者がよみがえる夢を混乱と損失と読んでいます。死者が本当に戻ってくれば、かつて自分のものだった品を返せと言うだろうから、という理屈です。心理学では、この夢は、心がまだ喪失を受け止める途中にあることの自然な表れと考えられています。
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亡くなった人がまた亡くなる夢の意味は?
すでに亡くなった人が、夢の中でもう一度亡くなる。悲しみをもう一度味わうような、つらい夢です。アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀)は、故人が二度目に死ぬ夢を、同じ名前の人や考えの近い人、血縁の人の死を知らせるものと読み、まるで故人が二度亡くなったように思えるからだ、と説明しました。古代の本らしい読みですが、夢が誰かの死を予言することはありません。心理学では、この夢は、喪失をもう一度確かめ直す、悲しみの自然な過程のひとつとされます。
亡くなった人が病気になる夢の意味は?
亡くなった人が、夢の中で病に伏せっている。明治の夢判断書にも西洋の古い夢事典にも、故人が病気の姿で現れる場面の項目はありません。心理学では、この夢は、看病の記憶や、もっと何かできたのではという思いが、眠りの中でたどり直されているものと読まれます。夢の中の姿は、その人がいまどうしているかを表すものではありません。
夢の中で自分がしたこと
亡くなった人と抱き合う夢の意味は?

夢の中で、亡くなった人をしっかり抱きしめる。腕の中の重みや温かさまで覚えている人もいます。明治の夢判断書『夢判斷實驗書』(明治41年)は「死人を抱くとみれば官位進み財寶集まる」と書き、亡くなった人を抱く夢を、官位が進み財宝が集まるしるしと読みました。心理学では、抱き合う夢は、伝えきれなかった愛情や、きちんとお別れをしたいという気持ちが形になったものと読まれます。
亡くなった人を供養する夢の意味は?
お墓参りをする、お線香をあげる、手を合わせる。夢の中で故人を供養する場面です。明治の夢判断書『夢判斷實驗書』(明治41年)は「父母先祖或は知人の霊を祀るとみれば人望を得て益繁榮するの兆」と書き、両親や先祖、知人の霊を祀る夢を、人望を得てますます栄えるしるしと読みました。故人を大切にする夢に、はっきりと明るい読みをつけているのです。心理学では、供養の夢は、悲しみに区切りをつけ、関係を新しい形で続けていこうとする心の働きとして読まれます。
誰が出てきたか
亡くなった父親や母親の夢の意味は?
亡くなった父や母が夢に出てくるのは、故人の夢の中でもとりわけ多い形です。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、亡くなった両親が夢に現れるのを、近づいている面倒への警告と読み、取引には慎重に、と添えました。生きている両親が家で朗らかにしている夢には調和と快い変化を読んでいて、同じ親の夢でも読みがはっきり分かれます。『夢判斷實驗書』(明治41年)は親に限らず、亡くなった親族を見る夢を「大吉」としていました。父の夢、母の夢それぞれについては、亡くなった父の夢と亡くなった母の夢のページで詳しく紹介しています。
亡くなった兄弟姉妹の夢の意味は?
兄弟姉妹は、子どもの頃の記憶を分け合った相手です。夢の中では、一緒に遊んだ頃の姿で現れることもあります。明治の夢判断書には、亡くなった兄弟姉妹を取り上げた項目はありません。ミラーの夢事典(1901年、米国)も、亡くなった人の夢の項で、兄弟やほかの親族が現れる夢を、慈善や助けを求められるしるしと短く読んでいるだけです。心理学では、この夢は、同じ時間を生きた相手を失ったさびしさや、自分の子ども時代の一部が遠くなった感覚を映すと読まれます。
心理学では、亡くなった人の夢をどう読むのか
大切な人を亡くしたあと、その人の夢を見るのはとても自然なことです。心理学では、故人の夢は悲しみの過程の一部と考えられています。フロイトは「喪の作業」、つまり失った相手から少しずつ心を離していく心の働きについて書きました。夢の中の再会は、その作業の途中で、心が相手ともう一度向き合っている時間だといえます。
夢の雰囲気は、時間とともに変わっていくことが多いものです。亡くなってまもない頃は、生きている姿や、別れの場面がくり返し出てくることがあります。やがて、故人が穏やかに笑っていたり、ただそばにいたりする夢に変わっていく人も少なくありません。
手がかりは、夢の中のその人の様子と、目覚めたときの自分の気持ちです。慰められたのか、寂しさが増したのか。故人を抱く夢や供養する夢に明るい読みを残した明治の夢判断書のように、古い書物もまた、故人とのつながりを大切なものとして読んでいました。
心に留めておきたい問い
その人に、いまいちばん伝えたいことは何でしょうか。
亡くなった人の夢は、時がたつにつれて姿を変えていくことがあります。今朝の夢でその人がどんな表情をしていたか、何か言葉を残したか。日付と一緒に書き留めておけば、いつか読み返したとき、悲しみのたどった道のりに気づけるかもしれません。Dreamlockは、iPhone向けのプライベートな夢日記アプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を、古い書物の読み、心理学の見方、ひとつの問いから読み解きます。未来を占うことはしません。
