最初の一撃で、夢の中の自分まで跳ね上がる。続いて空を転がっていく長い響きと、次の一発を待つ数秒。雷の夢は、音だけで記憶に残ることの多い夢です。そして、古い夢の書物がもっとも正面から意見を戦わせた場面のひとつでもあります。
| 夢の場面 | 古い書物の読み | 出典 |
|---|---|---|
| 雷が鳴る | 商人は思いがけない利益、役人は禄が増す | 『夢判斷實驗書』 |
| 雷に打たれる | 「萬事成る」 | 『夢判斷實驗書』 |
| 雷に打たれる | 目上の人に助けられて出世する | 『夢判斷』 |
| 雷の音に驚く | 住まいをめぐる苦労 | 『夢判斷實驗書』 |
| 雷の音を怖がる | 引っ越しによい | 『周公解夢』 |
| 稲妻が身を照らす | 女性は子を授かり、男性は喜びごと | 『夢判斷實驗書』 |
| 家に雷が落ちる | どの書物にも項目なし | なし |
夢占いの古典では、雷の夢はどう読まれてきたのか
日本の夢占い(夢判断)の古典として、このサイトが引く明治の夢判断書、柄澤照覺の『夢判斷實驗書』(明治41年)は、「天文類」の中で雷に何行も割いています。「○雷四方より作るとみれば商業に利あり」「○雷鳴するとみれば商人は不時の利を得官吏は祿を增すべし」。四方から雷が起こる夢は商売の利、雷が鳴る夢は商人には思いがけない利益、役人には禄が増すしるしでした。反対に「○雷天に上るとみれば願望成らざるの兆」と、雷が天へ昇っていく夢には願いがかなわないという読みを当てています。
この本の多くの行は、中国の古典『周公解夢』を下敷きにしています。『周公解夢』には「身被霹靂主富貴」、雷に打たれる夢は富と名誉、「電光照身有吉慶」、稲妻が身を照らす夢はめでたいこと、という行があり、明治の本はこれを日本語に移したような読みを並べています。
中国の『夢林玄解』を和訳した『夢判斷』(明治39年)は、「雷電」の節を設けて、もう少し読みを割っています。「霹靂に打たれる夢」は「長上の人に救けられ出世する象」とよく読む一方、「雷電に首を打たれる夢」は「禍の來る兆」としました。
西洋の本は、全体に暗い側に立ちます。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、雷鳴を聞く夢を商売のつまずき、雷雨に遭う夢を身近な悲しみと読みました。雷の夢には、ひとつの伝統的な意味があるわけではありません。少なくとも二つあり、それが互いに食い違っているのです。
雷はどこに落ちたか
ここで紹介するのは古い夢の書物の読みで、歴史として伝えるものです。夢は未来を予言しません。
雷が落ちる夢の意味は?
近くで閃光が走り、地面が揺れるほどの音がする。雷が落ちる夢そのものの項目はありませんが、『夢判斷實驗書』は雷鳴の夢を商人には「不時の利」と読み、『夢判斷』も、雲が騒ぎ雨が降って雷が鳴る夢を、身分を問わずよい夢としました。落雷の大きな音を、むしろ動きの始まりとして読んでいたのです。心理学では、ずっと迫っていた何かがついに起こる、あるいは決定が下される瞬間を映すと読まれます。
雷に打たれる夢の意味は?
いちばん怖い場面で、たいていはここで目が覚めます。『夢判斷實驗書』は「○雷にうたるゝとみれば吉萬事成るの兆」と書き、打たれる夢をすべてがうまくいくしるしとしました。家族が打たれる夢にも行があり、「○子雷に打たるゝと見れば其子貴し」とする一方、「○兄弟雷に打たるゝと見れば骨肉分散の兆」としています。西洋のミラーの夢事典は反対に、打たれる夢を思いがけない悲しみと読みました。心理学では、人生を揺さぶる知らせや気づきを受けたときの衝撃と重ねて読まれます。
雷が家に落ちる夢の意味は?
屋根に雷が落ち、家じゅうが白く光る。家に雷が落ちる夢の項目は、このページで引くどの書物にもありません。ミラーの夢事典は、近くの物に雷が落ちて衝撃を感じる夢を、噂話に悩まされることと読んでいます。心理学では、場所がそのまま意味になります。家に落ちる雷は、家族の言い争いや暮らしの急な変化など、自分の屋根の下で起こる衝撃を映すと読まれます。
雷の音と光
雷の音に驚く夢の意味は?
耳をふさぐ、身をすくめる、心臓が早鐘を打ったまま目が覚める。二つの古い書物が、この驚きを住まいと結びつけています。『夢判斷實驗書』は「○雷に驚くとみれば住所につき苦勞あるべし」と書き、中国の古典『周公解夢』は「雷聲恐怕移居吉」、雷の音を怖がる夢は住まいを移すのによい、としました。米国の夢占い本『黄金の輪』(1862年)は、雷に怯えるなら「なおよい」と書いています。心理学では、目覚めている生活の何かに、思わず身構えている状態と読まれます。
稲妻だけが光る夢の意味は?
音もなく、空が一瞬だけ白くなる。『夢判斷實驗書』は「○電光の閃くをみれば病の兆」と、閃く稲妻を病のしるしとしました。ただしこれは明治の本の読みで、この夢を見る人の多くは、単に疲れているだけです。同じ本は「○電光身をてらすと見れば婦女は子を孕み男子は喜びごとあるべし」と、稲妻が身を照らす夢を正反対に読んでいます。心理学では、稲妻は、急に何かがはっきり見えてしまう瞬間の象徴です。
心理学では、雷の夢をどう読むのか
心理学では、雷は嵐の一部として読まれます。感情の空気が帯電し、しばらく張りつめていたものが、いま破れようとしている状態です。雷の夢は、長く避けてきた衝突や、自分ではどうにもならない力に天気を決められているような時期に見やすいとされます。雷鳴は嵐が自分を名乗る声なので、言えずにいたことがようやく口に出される直前に見ることも少なくありません。
雷が去ったあとの静けさにも意味があります。雷鳴が遠ざかる夢や、雨が落ち着いた降りに変わる夢は、緊張がほどけつつある時期に見やすいものです。嵐全体については嵐の夢、雨については雨の夢もどうぞ。
心に留めておきたい問い
いま、遠くでずっと鳴り続けているものは何でしょうか。それが鳴りやむには、何が必要でしょうか。
明治の夢判断書は雷に打たれる夢に「萬事成る」を読み、西洋の夢事典は悲しみを読みました。どちらが正しいかより、あなたの雷がいつ鳴るのかのほうが手がかりになります。家族と会う前の週なのか、会議で黙っていた日の夜なのか。夢の意味を読むこと自体に迷いがあるなら、夢占いはやめたほうがいい?にも正直な答えを書きました。Dreamlockは、iPhone向けのプライベートな夢日記アプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を、古い書物の読み、心理学の見方、ひとつの問いから読み解きます。未来を占うことはしません。