遠くの空から、灰色の渦がゆっくりとこちらへ近づいてくる。逃げなければと思うのに、なぜか目が離せない。明治の『夢判斷實驗書』に竜巻そのものは出てきませんが、大風が家を揺さぶる夢の読みは残っていました。
| 夢の場面 | 古い書物の読み | 出典 |
|---|---|---|
| 竜巻が近づいてくる | 苦しみと宙づりの不安のなかで、失敗を防ごうとする | ミラーの夢事典 |
| 竜巻に巻き込まれる | のみこまれそうな変化に向き合う | ミラーの夢事典 |
| 竜巻から逃げる | 古い書物に項目なし(現代の読みは本文へ) | — |
| 竜巻が家を破壊する | 近い場面として、風が家を倒す夢は財が散るしるし | 『夢判斷實驗書』 |
| 竜巻が消える | 大風の爪あとを見る夢は、面倒が近づくがそれてゆく | ミラーの夢事典 |
夢占いの古典では、竜巻の夢はどう読まれてきたのか
このページでは、明治の夢判断書『夢判斷實驗書』(明治41年)と、西洋の古い夢の本を引きます。『夢判斷實驗書』には竜巻の項目がありません。いちばん近いのは「天文類」にある暴風の夢で、「○暴風砂石を飛ばすとみれば盜難あるべし又家內に變事あるの兆」、つまり暴風が砂や石を飛ばす夢は、盗難や家の中の思いがけない出来事のしるしだと書いています。風が家を倒す夢には、財が散ると読みました。
竜巻そのものを取り上げているのは、西洋の本です。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、「つむじ風」と「ハリケーン」の項で、迫ってくる大風や、その通り道にいる夢を、のみこまれそうな変化や苦しい宙づりの時期と読みました。ただし、嵐が去ったあとの爪あとを眺める夢には、面倒が近づいても最後にはそれてゆく、という読みもつけています。どの本も、竜巻のような大風を「自分の力ではどうにもならない変化」として見ている点では一致しています。
竜巻に巻き込まれる・逃げる夢
ここで紹介するのは、古い夢の書物に残る読みを、歴史の記録として伝えるものです。夢が未来を予言することはありません。
竜巻が近づいてくる夢の意味は?

渦を巻く黒い柱が、地響きとともにこちらへ向かってくる。明治の本にこの場面はなく、手がかりは西洋の本です。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、うなりを上げて迫ってくるハリケーンの夢を、仕事の失敗や破綻を防ごうともがく中での、苦しみと宙づりの不安と読みました。心理学では、近づいてくる竜巻は、避けられないとわかっている変化や、日に日に大きくなる不安の象徴とされます。まだ届いていない時間が長いほど、その不安も長く続いていると考えられます。
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竜巻に巻き込まれる夢の意味は?
足が地面から離れ、何もかもが渦の中で回り出す。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、つむじ風の通り道にいる夢を、損失や災難で自分をのみこみかねない変化に向き合っているしるしと読みました。心理学では、巻き込まれる夢は、仕事や家庭、人間関係の大きな動きの中で、自分の足場を失っている感覚の表れとされます。巻き込まれたあと、どこに降り立ったかも、見ておきたいところです。
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竜巻から逃げる夢の意味は?
竜巻から逃れようと、走ったり、車を飛ばしたり、地下へ駆けこんだりする夢です。明治の本にも西洋の本にも、竜巻から逃げる場面の項目はありません。心理学では、逃げる夢は、問題から距離をとりたい気持ちの表れと読まれますが、竜巻のような相手から逃げるのは、弱さではなく身を守る判断でもあります。どこへ逃げこんだのか、そこが安全だと感じられたのかが、手がかりになります。
竜巻の被害とその後
竜巻が家を破壊する夢の意味は?

屋根がはがれ、壁が崩れ、住み慣れた家が目の前で壊れていく。『夢判斷實驗書』に竜巻はありませんが、近い場面として「○風吹て家を倒すとみれば財寳散亂すべし」という一行があり、風が家を倒す夢を、財宝が散り散りになるしるしと読みました。大きな家が風で揺れる夢も、『夢判斷實驗書』は「大凶」としています。心理学では、家は自分自身や家族の象徴で、家が壊れる夢は、暮らしの土台が揺らいでいる感覚や、慣れ親しんだ形が変わっていくことへの不安と重ねて読まれます。
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竜巻が消える夢の意味は?
ふいに風がやみ、竜巻が消えていく。あとには散らばった瓦礫と、静まり返った景色が残る夢です。ミラーの夢事典(1901年、米国)は、ハリケーンの残した瓦礫や荒れた跡を眺める夢を、面倒のすぐそばまで行くけれど、周りの人々の事情が変わってそれてゆくしるしと読みました。心理学では、竜巻が去る夢は、大きな混乱の時期が終わりに近づき、片づけと立て直しを考え始めた状態として読まれます。
どんな竜巻だったか
複数の竜巻が現れる夢の意味は?

地平線に、いくつもの竜巻が並んで立っている。どこへ逃げればよいのかもわからない夢です。複数の竜巻の項目は、古い書物には見当たりません。現代の読み方では、たくさんの竜巻は、いくつもの問題や変化が同時に押し寄せている状態の表れとされます。ひとつひとつより、その数の多さに圧倒されているのかもしれません。
黒い竜巻の夢の意味は?
墨のように黒い渦が、空と地面をつないでいる。黒い竜巻の項目も、古い書物にはありません。心理学では、黒はよく見えないもの、正体のわからないものの色です。黒い竜巻は、何が起きているのかはっきりしないまま、ただ大きな不安だけが迫ってくる状態として読まれます。怒りや悲しみなど、名前をつけられずにいる強い感情の姿と見ることもできます。
心理学では、竜巻の夢をどう読むのか
「竜巻」という名前には、渦を巻いて天に昇る竜の姿を重ねたという話がありますが、これは言葉の由来をめぐる言い伝えで、ここで引く夢の書物に出てくるものではありません。
心理学では、竜巻の夢は、自分では止められない変化や感情の象徴として読まれます。ユングは、夢の中の自然の力を、意識では抑えきれない心の動きの表れと考えました。竜巻はその中でも、突然現れて、すべてを巻き上げ、短い時間で去っていくものです。現実の出来事でいえば、急な異動や別れ、家族の中の衝突など、一気に状況が変わる場面と重なりやすいとされます。
大切なのは、竜巻の中で自分がどこにいたかです。遠くから眺めていたのか、巻き込まれたのか、逃げこんだ先で過ぎ去るのを待っていたのか。『夢判斷實驗書』が大風の夢を家や財と結びつけて読んだように、何が揺さぶられていたのかを見ることが、夢の意味に近づく手がかりになります。
心に留めておきたい問い
いま、あなたの暮らしの中で、止めることはできないけれど、どこで待つかは選べる変化は何でしょうか。
風が家を倒す夢に財の散乱を読んだ明治の本も、通り道に立つ夢に大きな変化を読んだミラーも、竜巻を「自分では止められないもの」として扱っています。夢の中で渦が何を巻き上げていたのか、屋根か、木々か、見知らぬ誰かの持ち物か。その中身が、いま揺さぶられているものを教えてくれることがあります。Dreamlockは、iPhone向けのプライベートな夢日記アプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を、古い書物の読み、心理学の見方、ひとつの問いから読み解きます。未来を占うことはしません。
