水平線が盛り上がり、音もなく壁のような波が近づいてくる。目が覚めても、しばらくは胸の上に重しを載せられたような感覚が抜けません。日本では、津波は実際の災害の記憶と結びついた言葉でもあり、この夢を軽く扱うことはできません。
夢占いの古典では、津波の夢はどう読まれてきたのか
先にはっきり書いておくと、このページで引く古い夢の書物には、津波の項目がありません。明治の夢判断書『夢判斷實驗書』(明治41年)にも、中国の夢の本を和訳した『夢判斷』(明治39年)にも、押し寄せる大波の夢は出てきません。
いちばん近い場面を探すと、中国の古典『周公解夢』に「江海漲漫大吉昌」(川や海の水があふれ広がる夢は、大いに吉で栄える)という一行があります。ただ、これは水かさが増して満ちあふれる場面で、町をのみこむ波ではありません。『周公解夢』は水が満ちることを豊かさと重ねて読んだのであって、津波の夢の読みとして借りてくるのは無理があります。
ですから、このページの読みは、どれも現代の心理学の見方です。津波の夢で多くの人が覚えているのは、水そのものより、波が見えてから届くまでの時間です。もう来るとわかっているのに、止めることも、間に合うかどうかもわからない。その宙づりの感覚こそが、この夢の中心だと考えられています。
津波が来る夢
古い夢の書物には、この夢の項目がありません。以下は現代の心理学的な読み方です。夢が未来を予言することはありません。
大きな津波の夢の意味は?
見上げるほどの波が、海の向こうからゆっくりと、しかし確実に迫ってくる。津波の夢の中でもいちばんよく語られる場面です。現代の心理学では、巨大な波は、自分の力ではどうにもならないほど大きな出来事や感情の象徴として読まれます。転職や引っ越し、家族の変化、あるいは長くためこんできた気持ちなど、「いつか来る」とわかっていながら向き合えずにいるものが、波の姿をとっているのかもしれません。波の大きさは、その出来事の重さより、それに対する自分の無力感の大きさを映していると考えられます。
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潮が引いていく夢の意味は?
波が来る前に、海の水がすうっと引いていき、ふだんは見えない海底があらわになる。不気味な静けさの残る夢です。心理学では、潮が引く場面は「嵐の前の静けさ」として読まれることが多く、何かが起こりそうな予感だけがあって、まだ何も起きていない状態を映していると考えられます。現実でも、結果を待っている時期や、話し合いの前の落ち着かなさと重なることがあります。むき出しの海底が印象に残ったなら、ふだん隠している自分の一面が見えてしまうことへの不安も読みとれるかもしれません。
何度も押し寄せる津波の夢の意味は?
ひとつの波をやり過ごしたと思ったら、また次の波が来る。終わりの見えない夢です。現代の読み方では、繰り返し押し寄せる波は、次々に降りかかる用事や問題に追われ、息をつく暇がない状態の表れとされます。ひとつひとつは乗り越えられても、休む間がないことそのものがつらい、という感覚です。波と波の間に何をしていたか、少しでも高いところへ移ろうとしていたのかも、手がかりになります。
津波から逃げる・助かる夢
津波から逃げる夢の意味は?

背後に迫る波から、走って、あるいは車で、高台を目指して逃げる夢です。心理学では、逃げる夢は、問題から距離をとりたい気持ちの表れと読まれますが、津波から逃げる場合は少し事情が違います。津波は、立ち向かうより逃げるのが正しい相手だからです。夢の中で迷わず高いところを目指していたなら、それは臆病さではなく、自分を守るための判断ができている感覚の表れとも読めます。誰かと一緒に逃げていたのか、ひとりだったのかも、大事な手がかりです。
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津波から助かる夢の意味は?

波が足元まで来て、それでも助かった。目が覚めて、しばらく動けないほどほっとする夢です。現代の心理学では、助かる夢は、大きな変化や危機のただ中にいても、自分には切り抜ける力がある、という感覚の表れと読まれます。波が引いたあとの景色を覚えているなら、変化のあとの暮らしを思い描き始めているのかもしれません。何に助けられたのか、人か、建物か、自分の足かも、見ておきたいところです。
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津波の中を泳ぐ夢の意味は?
波にのまれながらも、必死で泳いで水面に顔を出す。流されるのとも逃げるのとも違う夢です。心理学では、水はしばしば感情の象徴とされ、津波の中を泳ぐ夢は、押し寄せる気持ちや出来事の中で、なんとか自分を保とうとしている状態として読まれます。泳ぐのが苦しかったのか、思ったより体が浮いたのかで、読みの色合いは変わります。苦しくても泳ぎ続けていたなら、その粘り強さこそが夢の中心かもしれません。
津波に流される夢
津波に流される夢の意味は?

足をすくわれ、何もつかめないまま波に運ばれていく。津波の夢の中でも、とくに怖い場面です。現代の読み方では、流される夢は、自分で舵を取れない状態、つまり周りの事情や強い感情に振り回されている感覚の表れと考えられています。流されながら何を感じていたかが大切で、恐怖だけだったのか、どこかであきらめに似た静けさがあったのかによって、映しているものが違ってきます。
家族が津波に巻き込まれる夢の意味は?
自分ではなく、家族や大切な人が波にのまれていく。見ていることしかできない、つらい夢です。心理学では、この夢は相手に何かが起こるしるしではなく、その人を失うことへの不安や、守りきれないのではないかという気持ちの表れとして読まれます。相手のことを大切に思っているからこそ見る夢でもあります。目覚めてから、その人に連絡をとりたくなったなら、それは自然な気持ちです。
津波の水の色
津波の水が澄んでいる夢の意味は?
押し寄せる波が、ガラスのように透きとおっている。怖いはずなのに、どこか美しさの残る夢です。現代の読み方では、水の透明さは、感情や状況がはっきり見えていることの表れとされます。大きな変化が迫っていても、それが何なのか、自分がどう感じているのかはわかっている。澄んだ津波の夢は、そうした状態と重ねて読まれることがあります。
津波の水が汚い夢の意味は?
泥や瓦礫をのみこんだ、黒く濁った波が押し寄せてくる。澄んだ波とは反対に、重苦しさの残る夢です。心理学では、濁った水は、整理のつかない感情や、先の見えない状況の象徴として読まれます。何が起きているのか、自分でもはっきりわからないまま不安だけが大きくなっている。そうした状態が、濁った波の姿をとっていると考えられます。
心理学では、津波の夢をどう読むのか
フロイトは夢を抑えこまれた願いや衝動の表れと考え、ユングは海や大きな水を、意識の下に広がる無意識の世界の象徴として読みました。津波は、その無意識の海が岸に押し寄せてくる姿、と見ることもできます。ふだんは意識の下に沈めている感情や記憶が、一度にあふれ出してくる感覚です。
現代の読み方では、津波の夢は、人生の大きな変化の時期によく見られる夢とされています。仕事や住まい、人間関係が大きく動くとき、あるいは自分では決められない何かを待っているとき、その「手に負えなさ」が津波という形をとるのです。
もうひとつ、忘れてはいけないのは、津波が多くの人にとって現実の記憶でもあることです。ニュースで見た映像や、実際の体験が、夢の中によみがえることは珍しくありません。その場合、夢は何かの象徴というより、記憶そのものを心が整理しようとしている過程と考えるほうが自然です。
心に留めておきたい問い
いま、来るとわかっているのに、まだ向き合えずにいる大きな波は何でしょうか。
津波の夢で多くの人が覚えているのは、波が見えてから届くまでの、長く感じられる数秒です。そのあいだ自分がどこを目指し、誰の手を探していたのか。そこに、いま心が何を守ろうとしているのかが表れていることがあります。Dreamlockは、iPhone向けのプライベートな夢日記アプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を、古い書物の読み、心理学の見方、ひとつの問いから読み解きます。未来を占うことはしません。
