夢の中では、それは本当のことでした。電話、病院の廊下、あるいは夢がよく手渡してくる、ただ「そうだとわかっている」という感覚。あなたは泣きました。起きているときには何年も泣いていないほど激しく。そして目を覚ますと、母も父も元気で、たぶん街の向こうか、世界の向こうで眠っていて、あなたは心臓をどきどきさせたまま横になり、電話しようかと迷っています。

短く答えるなら、生きている親が亡くなる夢は、人が見る不安の夢のなかでもとくによくあるもので、警告ではありません。夢の研究者はこれを、たいていは親との関係やあなたの生活の何かが動いている時期に、恐れている喪失を心がリハーサルしている姿と読みます。長い答えは以下に、古い夢の書物が何と書いていたかとあわせて、歴史として紹介します。

なぜ心は最悪の場面をなぞるのか

夢がなぜ怖いものになるのかについて、影響力のある考えのひとつは、フィンランドの研究者アンティ・レヴォンスオによるものです。2000年の論文で彼は、夢を見るという働きは、脅威となる出来事をシミュレーションし、脳がそれに気づいて対応する練習をするために、部分的に進化してきたのではないかと提案しました。夢がどれほどしばしば起きている生活から脅威を選び出し、新しい組み合わせで再生しているかを、彼は指摘しています。この理論には議論があり、もともと身体的な危険を中心に組み立てられたものですが、役に立つ枠組みを与えてくれます。親を失うことは、人が想像できるもっとも大きな脅威のひとつで、だからこそ眠っている心が立ち返る場面なのです。

このリハーサルが無駄ではないかもしれない、という手がかりもあります。ヴィルジニー・ステルペニッシュ、ランプロス・ペロガンヴロス、ジュリオ・トノーニ、ソフィー・シュワルツは2020年に、夢の中で恐怖を感じることが多い人ほど、起きているときに怖い画像を見たときの脳と体の反応が落ち着いていたと報告しました。規模の小さい研究で、悲しみの夢そのものを調べたわけではないので、これは約束ではなく手がかりです。それでも、多くの人が語る体験とよく合います。夢はひどかったけれど、そのあとで何かが落ち着いた、という体験です。

この夢がたいてい追っているもの

夢は新しい心配ごとを作り出すより、起きているときの関心ごとを続ける傾向があります。マイケル・シュレドルとフランク・ホフマンが2003年に夢日記を調べた研究では、昼にしていること、考えていることが、夢へと安定して持ち込まれていました。ですから、夢の中の親のまわりで何が起きているかを考えてみる価値があります。

よくある答えは、親がある年齢を迎える、家族の健康についての心配ごと、衰えてきた親の世話をしている、友人が親を亡くしたばかり、といったものです。同じくらい多いのが、あなた自身の変化です。家を出る、遠くへ引っ越す、子どもが生まれる、自分が物事を決める側になる。子どもの頃に知っていた親が、ある意味で別の誰かに変わりつつあり、夢はそれに劇的なかたちを与えているのです。死ぬ夢を読む心理学者は、夢の中の死が文字どおりの終わりを意味することはまれで、移り変わりにともなって現れる傾向があると指摘しています。

そしてときには、親は代役です。仕事やお金や人間関係が手からすべり落ちていくように感じるとき、心はもっと漠然とした怖さを運ぶために、自分の知るいちばん怖い喪失を借りてくることがあります。

古い夢の書物は何と書いていたか

古い書物どうしは意見が割れていました。夢に怖い思いをさせられたときには、知っておく価値があります。ミラーの夢事典(1901年、米国)、『Ten Thousand Dreams Interpreted』は、身内の誰かが死んでいるのを見る夢を、やがて来る崩壊や悲しみの警告と読み、親族が亡くなったと聞く夢を、その誰かから悪い知らせが来るしるしと読みました。それでいて同じ「Death」の項に、死の夢は初心者を惑わせる、という長い注記を加えています。米国の夢占い本『黄金の輪』(1862年)は同じ夢を逆さに読みました。死を見る夢は幸せと長寿を、ほかの人が死んでいるのを見る夢は友人からの急ぎの知らせを意味する、というのです。アルテミドロス『夢判断の書』(2世紀、クラウスによる1881年のドイツ語訳)は、死と結婚をひとまとめにして、人生の大きな転機として扱いました。

明治の夢判断書『夢判斷實驗書』(明治41年)も、死の夢の多くを見たままとは逆に読んだ本です。生きている人が死ぬ夢を見れば、よいことがあると読みました。ただし、父母や兄弟が死ぬ夢については、親の死ではなく、夢を見た本人が病にかかる兆しと読んでいます。泣く夢についても、声をあげて大いに泣く夢を「大吉」としました。

ここでは指針ではなく、歴史として紹介しています。ある本の警告は別の本の吉兆で、夢は誰の健康も死も知りません。正夢・予知夢は本当にあるのかのガイドでは、とくにこうした夢のあとで、夢が当たるかもしれないという感覚がなぜこれほど説得力を持つのかを説明しています。

よくある夢のかたち

知らせを受ける。 電話、メッセージ、廊下の医師。いちばん現実味のあるかたちであることが多く、遠く離れている、すぐに駆けつけられないという、起きているときの心配と結びついていることがよくあります。

亡くなるところを見る。 振り払うのがより難しい夢です。親のことでも、ほかのことでも、本当に無力さを感じている時期に見ることが多いものです。

葬式に出ている。 心が、正式な終わりを舞台にのせているのです。人そのものより、関係の変化と結びついていることが多くあります。

泣いて、泣きやめない。 夢で泣くことは、起きている生活に置き場のない気持ちを解き放っていることがよくあります。

すでに亡くなった親が、もう一度亡くなる。 親を亡くしているなら、亡くなった家族の夢のページや、悪夢のガイドのほうが、いま必要なものに近いかもしれません。

目覚めたあとに

電話したければ、してください。こうした夢のあとで声が聞きたくなるのは少しもばかげたことではなく、何でもない五分の電話で朝が落ち着いた、という人はたくさんいます。そして後で、もっと役に立つ問いを考えてみてください。親との関係で、あるいは自分の生活で、何が変わってきているのか。

夢が何度も戻ってきて、つらさが残るなら、信頼できる人に話してみる価値があります。ストレスも睡眠不足も、夢をより鮮やかに、より怖くする傾向があります。このページは医療上の助言ではありません。

心に留めておきたい問い

もしこの夢が喪失をリハーサルしていたのだとしたら、いまのこの親について、あなたがいちばん手放したくないもの、あるいはいちばん伝えたいことは何でしょうか。


一般的な読み方で言えるのはここまでです。あなたの夢には、あなただけのかたちがあります。実家に帰る飛行機の前にだけ夢の中で亡くなる父、亡くなったあとに部屋に入ってきてお茶をいれる母。そうしたパターンは、たくさんの夢をまとめて覚えていてはじめて見えてきます。Dreamlockは、そのためのiPhoneアプリで、App Storeで配信中です。吹き込んだ夢を聞き、絵にし、誰がくり返し戻ってくるのかを覚えておきます。